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イケメンシリーズ ストーリーのネタバレです

王宮【アラン】secret endエピローグ後半

そして、翌日…―。

レオの言葉を聞いたアランは、試しに美香を避けていた。

 

(くっつきすぎると飽きられるって…

だから、どのくらいの距離のことを言うんだよ)

 

距離感をつかめないまま、美香に近づかないようにしていると……。

廊下ですれ違った瞬間、ついに美香が呼び止めた。

 

「アラン……」

 

アラン「……」

 

少し迷ったアランが振り返ると、美香が不安そうに眉を下げている。

 

「私、何かした?」

 

アラン「別に」

 

(試してるだけなんて、言えるかよ)

 

「…………」

 

アラン「…………」

 

長い沈黙が、二人の間を流れていった。

そのうちに、黙ったままの美香が足早に廊下を去っていく。

 

アラン「おい」

 

思わず声をあげながら、アランは眉を寄せた。

 

(やべ、やりすぎたかも)

 

去っていくしのを慌てて追いかけると、ダンスホールに辿り着いた。

 

(なんでこんなとこまで……)

 

すると立ち止まったしのが、背を向けたまま言う。

 

「追いかけて来なくていいのに。こんなとこ見られたくない……」

 

アラン「……」

 

美香の顔を覗きこむと、その目には少し涙が滲んで見えた。

 

アラン「……なんで泣いてんだよ」

 

「……私のほうが好きの気持ちが大きいんだなって思っただけ」

 

その言葉に、アランは目を瞬かせる。

 

(……何言ってんだ、こいつ)

 

アラン「……あのなあ」

 

アランが呆れるように呟き、美香の頬に手を伸ばした。

 

(そんなわけ、あるかよ)

 

そうしてそのまま顔を傾け、唇を重ねた……。


アランは美香の頬を包み、キスを落とす。

 

「……っ……ん」

 

何度も甘くかみつくと、誰もいないホールには、甘い微かな音が響いていった。

やがて唇が離れると、アランがささやいた。

 

アラン「こうまでして、わかんないのかよ」

 

「え……」

 

頬を真っ赤に染めた美香が、目を瞬かせアランを見上げている。

 

(俺がこんなに必死になってるってのに、こいつ……)

 

アラン「言っとくけど、俺がこんなに焦るのはお前のせいだからな」

 

アラン「責任とれよ」

 

「……!」

 

すると驚いたように目を見開いた美香が、微かな笑みを浮かべて頷いた。

 

「うん……」

 

アラン「……」

 

(ほんとに、わかってんだろうな……)

 

アランが息をつき、もう一度キスをする。

 

「ん……っ……」

 

角度を変えキスを繰り返すと……。

 

アラン「……あー疲れた。お前、足速いし」

 

美香の肩にもたれるように、アランが腕をまわした。

アランの腕に指先を置き、美香がそっと口を開く。

 

「ごめんね……戻ろう?」

 

アラン「……なんでだよ」

 

美香の言葉に眉を寄せ、アランが顔を覗き込む。

 

アラン「責任取れって、言っただろ?」

 

「……!?」

 

そうしてそのまま、美香の首筋に唇を寄せた。

 

「……んっ」

 

美香の漏らす甘い吐息と、キスの余韻が、夜のダンスホールを満たしていく。

そうしてアランの指先が、美香の胸元から肌を撫でていき……

 

「……あっ……」

 

アランが首筋を唇で辿ると、美香が胸を押すのがわかった。

 

(ん……?)

 

胸元から差し入れた指先を引くと、美香が顔をうつむかせる。

 

「あ、アラン……こんなところじゃ」

 

アラン「……なに」

 

「部屋に戻りたいんだけど……」

 

その顔を覗きこむと、さらに赤く染まって見えた。

 

(……俺って変なのか?)

 

(こいつのこういう顔見ると、もっと困らせたくなる)

 

アラン「……」

 

そうしてアランがふっと目を細め、口を開く。

 

アラン「……いいよ、戻るか。その代わり……」

 

アランが軽く首を傾げ、美香の唇に触れるだけのキスをした。

 

「……っ」

 

アラン「同じことして」

 

アランの言葉に、焦る美香が声を上げる。

 

「え!」

 

アラン「……」

 

(まあ、しなくても戻るけど……)

 

「……」

 

アランが目を細めると、美香は少しためらった後……

 

(……あれ?)

 

アランの唇に、キスを返した。

 

アラン「……っ」

 

アランは驚き、目を瞬かせる。

 

(やべ……本当にするとは思わなかったから)

 

かあっと赤くなった頬を隠すように、口元を手で覆った。

 

「……これでいい?」

 

アラン「え、ああ……」

 

アランが、そっと視線をそらす。

 

(俺、こいつに振り回されてるよな……)

 

そうして息をつき、改めて美香を見おろす。

 

「アラン?」

 

アラン「……戻るか」

 

アランがしのの手をとり、歩き出した。

 

(でも……)

 

ちらりと振り返ると、しのがアランの手を握り返す。

 

(こいつに振り回されんのは嫌いじゃねえから、まあいいか……)