イケメン王宮【アラン】
そして、翌日…―。 レオの言葉を聞いたアランは、試しに美香を避けていた。 (くっつきすぎると飽きられるって… だから、どのくらいの距離のことを言うんだよ) 距離感をつかめないまま、美香に近づかないようにしていると……。 廊下ですれ違った瞬間、ついに…
宣言式を終え、数日が経ったある日……。 次期国王候補になったものの、アランは普段と変わらない毎日を過ごしていた。 アラン「…………」 普段通りの訓練をしていると、ふと美香の姿を遠くに見つける。 不意に、ジルの言葉がよみがえってきた。 ジル「いいですか…
舞踏会を抜け出し、アランが私の身体を横抱きにして部屋まで送ってくれていた。 「あ、アラン……もういいよ、大丈夫」 アラン「暴れんなよ」 足は多少痛むものの、昨夜ほど腫れてはいない。 アランは息をつき、私の身体を抱え直した。 「……っ」 私はアランの…
すっかり陽が落ちた庭で、私はアランのキスを受け止めていた。 「…んっ…っ…」 やがて唇が離れると、アランが甘く息をつく。 「アラン……」 私は思わず、アランの背中にぎゅっと抱きついた。 アラン「…………」 アランは黙ったまま、優しく抱きしめ返してくれた……
シュタインとの極秘会談を終えて別邸を出ると、誰かに呼び止められた。 ???「美香様……」 振り返ると、そこに立っていたのは…。 「ユーリ……」 ユーリの姿を見上げ、私はその名前を呼んだ。 ユーリ「…………」 .......... 別邸から少し離れた場所で、私はユー…
アラン「……黙ってろよ?」 噴水の影に隠れたまま、アランが突然キスをした。 「…っ……」 水音の合間に響く足音に気づき、私は必死に声を抑える。 やがて足音が遠ざかると、長く続いたキスも離れていった。 「…………」 私の鼓動は大きく跳ねて、頬は赤く染まって…
アラン「プリンセスが選んだのが、俺だからだよ」 「……!」 (アラン……) アランの発言に、宮廷官僚たちがどよめき始めた。 宮廷官僚1「クロフォードの双子の片割が選ばれたのか?」 宮廷官僚2「王室直属の騎士団長が……」 アラン「…………」 (こんなところで…
「アラン、あのね……」 私が口を開くと、廊下の先から足音が響いてきた。 (誰か、来る……?) 思わず視線を逸らし、廊下の先を見やる。 アラン「…………」 すると突然、アランが私の手を強く引いた。 「……!」 そうしてアランは、私を部屋の中へと引き入れていっ…
そして、数日が経ったある日…―。 私はドレナ王国から会食の招待を受け、城を出ていた。 馬車の中で、ジルがドレナ王国について話してくれる。 ジル「ドレナ王国は、ここ数年大きくなってきた新興国ですね」 (そういえば少し、聞いたことがある……) 街に住ん…
ユーリ「あーあ……。やっぱりバレちゃったのか」 アラン「…………」 ユーリが、呟くように口を開く。 (ユーリ……どういうこと?) 私が戸惑いに視線を逸らしていると、アランが静かに尋ねた。 アラン「お前、シュタイン側の人間か?」 ユーリ「…………」 黙ったまま…
アルバート「ところでアラン=クロフォード騎士団長、あなたはこんなところにいる場合ですか?……うちの者が、お世話になっているようで」 そう言い残し去っていくアルバートの姿を見つめながら、アランは小さな声で呟いていた。 アラン「……まさか」 野営地へ…
差し込む朝陽に気づき目を覚ますと、窓の外には朝焼けが広がっていた。 (朝になっちゃった……) ゆっくりと身体を起こし見下ろすと、ぐっすりと眠るアランの姿が見える。 (私、アランと……) ――――――― アラン「もっと教えて、お前のこと」 「……っ」 ――――――― …
息抜きを終え、お城へと戻ってくると、殺伐とした雰囲気が漂い始めていた。 (騎士たちは、明日から出かけることになるって言ってたけど……) 送ってくれたアランもすぐに厳しい顔つきに戻り、部屋を出て行った。 窓から若い騎士と共に歩いていくアランの姿を…
アラン「後で聞くから、少し黙ってろよ」 軽く首を傾げたアランが囁き、唇を重ねる。 柔らかな感触が、やがてついばむようなキスに変わっていった。 「……っ」 何度も繰り返される甘いキスに、吐息が漏れる。 「……んっ…」 深くなるキスに耐え切れず、私がアラ…
プリンセスとしての勉強を一通り終えた後、私は執務室を出て、ロベールさんの部屋へと向かっていた。 ――――――― ロベール「今度相談がある時は、昼間においで」 ――――――― (またロベールさんに相談してみたいんだけど……) 部屋のドアを叩くものの、反応はない。…
「私、アランのことをもっと知りたい。私に、アランのことを教えて欲しいの……」 それだけを言うと、私はアランの隣に腰掛けた。 アランの顔をそっと窺うと、その目はどこか遠くを見ている。 アラン「…………」 そしてしばしの沈黙の後、黙っていたアランが呟く…
暗がりの中に、ランプだけが仄明るく手元を照らしている。 私は執務室で一人、本棚を見上げていた。 (ご両親のことは、直接尋ねる訳にはいかないし……。アランやレオの家のことについて、何かわかることはないかな) 本棚から取り出した分厚い歴史書のページ…
ネープルス王国に到着した私たちは早速、会食に招かれていた。 ジル「最近、国境には緊張感が漂っているようですね」 温厚そうなネープルス国王が、ひげを撫でながらジルの言葉に頷く。 国王「ああ。国内の事件も、どうやらかの国が関わっているという噂…。…
アラン「お前ら、何やって……」 騎士たちの後ろから顔を出したアランが、私の姿に目を止める。 アラン「…………」 そうしてもう諦めているのか、小さく息をついた。 その後、私はアランにお願いをして、森で野宿をする騎士たちの元へと訪れていた。 アラン「おい…
アラン「どういうことが起こるか、試してみるか?」 強引に重ねられた唇に、私は驚いて目を見開いた。 「……!」 甘く噛むように落とされた短い口づけが、ゆっくりと離れていく。 額がつくほどの距離のまま、アランがそっと尋ねた。 アラン「今したみたいなこ…
私の震える手を、アランがぎゅっと握ってくれる。 (アラン……?) 込められていく優しい力に、私の鼓動が跳ねた。 アラン「…………」 アランはじっと、私の手だけを見下ろしている。 やがて震えが止まると、アランがゆっくりとした仕草で手を離した。 「あ……」 …
「アラン……」 アラン「…………」 アランの目の前に立ち、私はレオの言葉を思い出していた。 ――――――― 「アランは私のこと、どう思ってるのかな」 レオ「そういうことは、本人に聞いてみたらいいよ」 ――――――― (確かにレオの言う通りだけど……) アラン「…………」 沈…
休日を取った日の夜…―。 ジルの部屋に呼び出された私は、その場で聞かされたことに驚いていた。 ジル「明後日の夜、舞踏会を開くという旨の招待状を出しておきました」 「え……!?」 (そんな、急に…?) 驚く私に、ジルはにっこりと微笑みかける。 ジル「で…
プリンセスセレモニーの翌朝…―。 私はいつものように、ジルから告げられるスケジュールを聞いていた。 「え……?」 パンをちぎる手を止め、思わずジルの顔をまじまじと見上げてしまう。 (そ、そのスケジュールって…) ジルは構わずに、男性と会う予定ばかり…
アラン「来いよ。受け止めてやるから」 馬の上でもたつく私に両手を差し伸べ、アランが言う。 「…う、うん」 私がゆっくりと身体を寄せると、アランが私の腰元を持った。 そうしてふわりと抱き上げると、私の身体を下ろす。 「……っ」 一瞬だけアランの胸に抱…
レオ「…君が俺を選んだら、教えてあげるよ?知りたいんでしょ?俺のこと」 楽しそうに笑みを浮かべ、レオがゆっくりと顔を寄せる。 「…っ」 私が思わず小さく息を呑むと、レオがふっと笑って顔を背けた。 レオ「君ってほんとに可愛いよね」 「え…?」 私が真…
???「美香様……?」 ドアがゆっくりと開き、アランが私を抱きしめる腕に力を込める。 (……っ!) ユーリ「あれ、美香様ー…?いないの?」 (この声、この口調…もしかしてユーリ…?) 私たちが抜け出したことを、ユーリは知っている。 (ユーリから、隠れる…
目を開けると、私を抱き止めてくれたのは…。 アラン「『プリンセス』がこんなところで何してる?やる気出してんのかと思えば…逃げ出すつもりか」 昼間見たアランとは別人のような眼光と声音に、私は思わず息を呑む。 この若さで王宮直属の騎士団をまとめ上げ…