2020-01-28から1日間の記事一覧
息抜きを終え、お城へと戻ってくると、殺伐とした雰囲気が漂い始めていた。 (騎士たちは、明日から出かけることになるって言ってたけど……) 送ってくれたアランもすぐに厳しい顔つきに戻り、部屋を出て行った。 窓から若い騎士と共に歩いていくアランの姿を…
アラン「後で聞くから、少し黙ってろよ」 軽く首を傾げたアランが囁き、唇を重ねる。 柔らかな感触が、やがてついばむようなキスに変わっていった。 「……っ」 何度も繰り返される甘いキスに、吐息が漏れる。 「……んっ…」 深くなるキスに耐え切れず、私がアラ…
プリンセスとしての勉強を一通り終えた後、私は執務室を出て、ロベールさんの部屋へと向かっていた。 ――――――― ロベール「今度相談がある時は、昼間においで」 ――――――― (またロベールさんに相談してみたいんだけど……) 部屋のドアを叩くものの、反応はない。…
「私、アランのことをもっと知りたい。私に、アランのことを教えて欲しいの……」 それだけを言うと、私はアランの隣に腰掛けた。 アランの顔をそっと窺うと、その目はどこか遠くを見ている。 アラン「…………」 そしてしばしの沈黙の後、黙っていたアランが呟く…
暗がりの中に、ランプだけが仄明るく手元を照らしている。 私は執務室で一人、本棚を見上げていた。 (ご両親のことは、直接尋ねる訳にはいかないし……。アランやレオの家のことについて、何かわかることはないかな) 本棚から取り出した分厚い歴史書のページ…
ネープルス王国に到着した私たちは早速、会食に招かれていた。 ジル「最近、国境には緊張感が漂っているようですね」 温厚そうなネープルス国王が、ひげを撫でながらジルの言葉に頷く。 国王「ああ。国内の事件も、どうやらかの国が関わっているという噂…。…
アラン「お前ら、何やって……」 騎士たちの後ろから顔を出したアランが、私の姿に目を止める。 アラン「…………」 そうしてもう諦めているのか、小さく息をついた。 その後、私はアランにお願いをして、森で野宿をする騎士たちの元へと訪れていた。 アラン「おい…
アラン「どういうことが起こるか、試してみるか?」 強引に重ねられた唇に、私は驚いて目を見開いた。 「……!」 甘く噛むように落とされた短い口づけが、ゆっくりと離れていく。 額がつくほどの距離のまま、アランがそっと尋ねた。 アラン「今したみたいなこ…
私の震える手を、アランがぎゅっと握ってくれる。 (アラン……?) 込められていく優しい力に、私の鼓動が跳ねた。 アラン「…………」 アランはじっと、私の手だけを見下ろしている。 やがて震えが止まると、アランがゆっくりとした仕草で手を離した。 「あ……」 …
「アラン……」 アラン「…………」 アランの目の前に立ち、私はレオの言葉を思い出していた。 ――――――― 「アランは私のこと、どう思ってるのかな」 レオ「そういうことは、本人に聞いてみたらいいよ」 ――――――― (確かにレオの言う通りだけど……) アラン「…………」 沈…
休日を取った日の夜…―。 ジルの部屋に呼び出された私は、その場で聞かされたことに驚いていた。 ジル「明後日の夜、舞踏会を開くという旨の招待状を出しておきました」 「え……!?」 (そんな、急に…?) 驚く私に、ジルはにっこりと微笑みかける。 ジル「で…
プリンセスセレモニーの翌朝…―。 私はいつものように、ジルから告げられるスケジュールを聞いていた。 「え……?」 パンをちぎる手を止め、思わずジルの顔をまじまじと見上げてしまう。 (そ、そのスケジュールって…) ジルは構わずに、男性と会う予定ばかり…
アラン「来いよ。受け止めてやるから」 馬の上でもたつく私に両手を差し伸べ、アランが言う。 「…う、うん」 私がゆっくりと身体を寄せると、アランが私の腰元を持った。 そうしてふわりと抱き上げると、私の身体を下ろす。 「……っ」 一瞬だけアランの胸に抱…
レオ「…君が俺を選んだら、教えてあげるよ?知りたいんでしょ?俺のこと」 楽しそうに笑みを浮かべ、レオがゆっくりと顔を寄せる。 「…っ」 私が思わず小さく息を呑むと、レオがふっと笑って顔を背けた。 レオ「君ってほんとに可愛いよね」 「え…?」 私が真…
???「美香様……?」 ドアがゆっくりと開き、アランが私を抱きしめる腕に力を込める。 (……っ!) ユーリ「あれ、美香様ー…?いないの?」 (この声、この口調…もしかしてユーリ…?) 私たちが抜け出したことを、ユーリは知っている。 (ユーリから、隠れる…
目を開けると、私を抱き止めてくれたのは…。 アラン「『プリンセス』がこんなところで何してる?やる気出してんのかと思えば…逃げ出すつもりか」 昼間見たアランとは別人のような眼光と声音に、私は思わず息を呑む。 この若さで王宮直属の騎士団をまとめ上げ…
セバスチャン「それでは、あなたは味噌汁作りをお願いします」 手際良く準備を進めながら、セバスチャンが味噌を渡してくれる。 「えっ、お味噌汁ですか?」 セバスチャン「ええわ太宰さんが召し上がられるので。伯爵がこの間仕入れてきた特製味噌です おふくろの…
__...美香が、シュタインを訪れてから3日目のこと 数人の衛兵を従えて、初めて美香をシュタインの城下へと案内する。 美香「アラン、見て。あのお家可愛いね」 アラン「はしゃきすぎて転ぶなよ」 美香「転ぶわけないでしょ?」 (...随分と楽しそうだな) わず…