ikemenserieslのブログ

イケメンシリーズ ストーリーのネタバレです

イケメン戦国【光秀】

戦国【光秀】情熱秘密END

安土へと帰還して、数日が経った頃。 家康「光秀さん、ちょっと顔を貸してもらえますか」 光秀「ああ、あとで行く」 三成「今お願いしたいのです」 光秀「わかった、そのうちな」 「私からもお願いします! ちゃんとふたりと話して、対策を立ててください」 …

戦国【光秀】情熱13話後半

(ここが光秀さんの治めてる国……。なんて素敵なところだろう) 水に浮かぶ美しい城が近づき、馬上からため息が漏れる。 –––京を発った私たちは、信長様の命で、安土へ帰る前にここへ立ち寄った。 文には『国が乱れていないか、ついでに確かめてから安土へ戻れ…

戦国【光秀】情熱13話前半

–––深夜、義昭の潜む城が、幸村と義元の指揮下で音もなく包囲された。 突入の準備を万端に整え、彼らは近くの茂みで息をひそめ、その時を待っていた。 幸村「クソ! 遅せーな、光秀のヤツ……!」 義元「幸村、それ、何度目の悪態?」 幸村「お前こそ、さっき…

戦国【光秀】情熱12話後半

佐助「光秀さん、毒の解析が終わりました!」 光秀「……佐助殿」 佐助「……っ」 振り向いた光秀の眼光の鋭さに、佐助は息を呑んだ。 運び込まれたあばら屋で、むしろの上に寝かされた美香は、浅い呼吸を繰り返している。 ーーーーーーーー 「……っ、あ、れ……、…

戦国【光秀】情熱12話前半

「何か気がかりなことでも……?」 光秀「……まあ、あるといえば、ある」 すっと近づいてきた手のひらが、私の頬を包み込む。 感情を隠すことに長けた瞳が今は、憂いを帯びている。 光秀「美香。俺とひとつ、約束をしろ」 (約束……?) 光秀「お前は金輪際、戦場…

戦国【光秀】情熱11話後半

九兵衛「おふたりに、御客人です」 (お客……?) 無遠慮に部屋へと入ってきた人影を見て、思わず声を失った。 光秀「これはこれは……」 幸村「邪魔するぞ」 佐助「夜分にごめん、美香さん」 (幸村、佐助くん……!? どうしてここに……) 光秀「九兵衛、もてなしの…

戦国【光秀】情熱11話 前半

将軍足利義昭との戦いから一夜明け、織田軍を見送った後––– 私と光秀さんは真っ先に、とある豪華なお屋敷へと向かった。 (ここが、将軍が根城にしていた場所……) 異様な静けさが、私の身を縮ませる。 光秀「どうやら、もぬけの殻らしい」 ためらいなく奥へと…

戦国【光秀】共通10話 後半

光秀さんと想いを確かめあった翌朝––– 身支度を整えた頃、襖がスパンと開け放たれた。 秀吉「光秀、美香、入るぞ!」 光秀「なんだ、朝から騒々しい」 秀吉「今すぐ手を出せ馬鹿野郎」 光秀「藪から棒に何を……」 秀吉「いいから出せ 」 光秀「……!」 (こ、こ…

戦国【光秀】共通10話前半

私たちは本能寺の一室で、『その時』を待っていた。 (深夜なのに、少しも眠気を感じない) 信長様は腕組みをしてあぐらをかき、微動だにせず虚空を見据えている。 秀吉さんの手は、刀の柄にかかったままだ。 ふたりから離れないよう命じられた私は、不安と期…

戦国【光秀】共通9話後半

光秀「織田信長に従わざるを得なかった間も、あなたへの忠義を忘れた日は一日もございません」 義昭「はっ……、相変わらず、よく口の回る男よのう」 光秀「口だけではないと、早晩、証明いたします。必ずやこの手で、憎き織田信長を亡き者にしてみせましょう…

戦国【光秀】共通9話前半

「あの、お話ってなんでしょうか……?」 天主に呼び出された私を、信長様と険しい顔の秀吉さん、不敵に笑う政宗が待っていた。 信長「明日、俺は秀吉と京へのぼる。美香、貴様も来るがいい」 「え……っ?」 信長「織田軍を裏切った化け狐に会いたければな」 (…

戦国【光秀】共通8話後半

光秀が美香の元を去ると、月が姿を隠し始め、雨が降り始めた。 光秀「…………」 光秀は追手の目をかいくぐり安土を抜け、身を低くして深い森をひた走った。 冷たい雨が、容赦なく体温を奪っていく。 光秀「……!」 光秀の足が水たまりを跳ね飛ばし、そのままピタ…

戦国【光秀】共通8話前半

秀吉「こんな時までヘラヘラ笑ってんじゃねえ……!」 柵越しに光秀さんの胸ぐらを掴み上げながら、秀吉さんが顔を歪ませる。 光秀「…………」 (秀吉さん……) 秀吉「お前、ほんとに……っ、何やってんだよ……!?」 秀吉さんが、固めた拳を振り上げて––– (うわ……っ) …

戦国【光秀】共通7話 後半

数人がかりで羽交い締めにされ、光秀さんは膝をついた。 光秀「おやおや、ずいぶんと熱烈な出迎えだな」 「やめてください! どうしてこんなことを……!?」 兵「光秀殿、信長様への反逆を企てた罪であなたを投獄いたす!」 光秀「…………」 (え……!?) 兵「光秀…

戦国【光秀】共通7話前半 彼目線

(ついに今夜か) お囃子の音が鳴り響き、一夜の特別な祭りが始まった。 次から次へ華やかな芸を繰り広げる一座の面々、舞台を囲み賑わう村の人たち、そして––– 一段高い場所に設けられた豪奢な観覧席で、大名の隣で気だるげに目を細めているのは、 ここにいる…

戦国【光秀】共通7話前半

(ついに今夜だ……) お囃子の音が鳴り響き、一夜の特別な祭りが始まった。 次から次へ華やかな芸を繰り広げる一座の面々、舞台を囲み賑わう村の人たち、そして––– 一段高い場所に設けられた豪奢な観覧席では、大名と『義昭様』がくつろいでいる。 義元さんの姿…

戦国【光秀】共通6話後半

(ん……、目が重たい……) 布団から起き出し、あくびを噛み殺す。 すっかり身支度を整えた光秀さんが、文机に向かって筆を走らせていた。 華麗な筆運びについ見惚れるけれど、すぐに昨夜の出来事を思い出し、ハッとした。 「あ、あの……っ、おはようございます………

戦国【光秀】共通6話前半

(わぁ……!) 村の外れに組み上げられた舞台を見上げ、感嘆のため息が出た。 その回りで、一座の仲間と思しき人たちが忙しく立ち働いている。 光秀「これはこれは、大したものですね」 座長「千年に一度あるかないかの、ありがたい機会なんで、お殿様が張り切…

戦国【光秀】共通5話後半

信長「光秀。俺が見出した女に、貴様は手をつけたのか?」 信長様はどこか愉快そうに、秀吉さんは飛びかかりそうな顔で、光秀さんを見据えている。 (胃が痛い……っ。なんでこんなことに……!) 光秀「実は……半端な覚悟ではございません」 (……ん?) 光秀「美香を…

戦国【光秀】共通5話前半 彼目線

「–––話せ、美香。これ以上のことを俺がお前にする前に」 美香の襟首を掴みながら、光秀は出来うる限り声を低めた。 (後生だから、言うことを聞け) 使者との密会を見られたのは不覚だった。 裏切りが発覚したことで美香が自分から離れていくだけなら、さして…

戦国【光秀】共通5話前半

光秀「–––話せ、美香。これ以上のことを俺がお前にする前に」 (……っ、どうして……?) 名前の知らない激しい感情がお腹の底から突き上げて、心臓を押し潰す。 初めて私は自分から手を伸ばして、光秀さんに触れた。 光秀「っ……?」 手のひらで包み込んだ頬が、…

戦国【光秀】共通4話後半

(あっ、光秀さん……? 誰かと一緒にいる……) ???「急な訪問に応じていただき感謝する。やはりあなたは、我が主の見込んだ通りのお人のようだ」 光秀「御殿にお招きできず失礼いたしました。文をいただいた時は驚きましたが……こちらこそ、よいお話をくださり…

戦国【光秀】共通4話前半

光秀「いいか、美香。誰もがお前のような清い心を持っていると思ったら、大間違いだぞ」 光秀さんは後ろ手に襖をパン、と閉めたかと思うと、座布団に座る私の方へ一歩踏み込んだ。 (な、何……?) 片膝をつき、私の前にしゃがみ込む。 濃い影が落ち、長い前髪…

戦国【光秀】共通3話 後半

「よくない噂を聞いたの。光秀さんの家臣が捕らえた顕如の手先のことで……」 政宗「…………」 「首謀者を聞き出すために、光秀さんが、その……ひどい拷問をしたって……」 政宗「それは、事実だ」 (……! そんな……) 政宗「何を驚いてる。お前、光秀が敵に情けをかけ…

戦国【光秀】共通3話 前半

茶屋を出ると、西日が安土の町を染め上げていた。 (あれ、もうそんな時間?) 光秀「案外、長居していたようだな」 「そうですね……」 (楽しくて、時間が経つのがあっという間だった。我ながら意外……。はじめの頃は見かけるたびに避けてたくらい、この人が苦手…

戦国【光秀】共通2話 後半

「お願い、止まって……! 言うことを聞いて!」 恐怖に駆られてたてがみにしがみつくと、馬は前脚を蹴り上げた。 (っ、落ちる……! 短い人生だった……) 覚悟を決めた私の身体は、石畳に打ち付けられ––– は、しなかった。 (あれ……?) 力強い両腕が、私を抱きとめ…

戦国【光秀】共通2話前半 彼目線

「おはよう、美香。支度はできているようだな」 美香「っ……はい、おはようございます」 光秀は後手に襖を閉めながら、今日から弟子になる娘をしげしげと眺めた。 美香は顔を強張らせ、正座のまま微動だにしない。 髪はキリリと結い上げられており、あらわに…

戦国【光秀】共通2話 前半

(はぁ、気が重い……) 身支度の仕上げに髪を結び終えたのと同時に、襖がスパンと開かれた。 光秀「おはよう。美香。支度はできているようだな」 「っ……はい、おはようございます」 油断のならない微笑を目にした瞬間、背筋はピンと伸びていた。 光秀「そう身構…

戦国【光秀】共通1話後半

政宗「信長様、お待たせを」 信長「……揃ったな」 広間へ足を踏み入れ、私は即座に後悔した。 (無理にでも断ればよかった。場違いにもほどがある……!) 居並ぶ武将たちは、装いはもちろん顔つきまで普段と違っている。 きっとこれが、戦いに向かおうとする武士…

戦国【光秀】共通1話前半

(うーん……) 起き抜けに伸びをひとつして、私は障子を開け放った。 のどかな鳥の鳴き声、ビルにも電線にも邪魔されず広がる空、清らかすぎるほど清らかな空気––– (朝が来るたび思い知らされるな。ここは戦国時代だって) タイムスリップし、安土城で暮らし始め…