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イケメンシリーズ ストーリーのネタバレです

戦国【光秀】共通5話後半

 

信長「光秀。俺が見出した女に、貴様は手をつけたのか?」

 

信長様はどこか愉快そうに、秀吉さんは飛びかかりそうな顔で、光秀さんを見据えている。

 

(胃が痛い……っ。なんでこんなことに……!)

 

光秀「実は……半端な覚悟ではございません」

 

(……ん?)

 

光秀「美香を、私の許嫁にするつもりです」

 

(今、何て……!?)

 

秀吉「光秀てめぇ……っ」

 

秀吉さんが立ち上がり、額をぶつける勢いで光秀さんと距離を詰めた。

 

秀吉「お前の嘘も戯言もいい加減聞き飽きた! 一体何を企んでる? お前がいつもコソコソ謀略を張り巡らせるのも許せねえけど、今度のことはもっと許せねえ! 美香を巻き込むな、馬鹿野郎!」

 

光秀「…………」

 

(秀吉さん、全部、見抜いてる……)

 

光秀「深呼吸でもして落ち着け、秀吉。ほら、すう、はあ」

 

秀吉「お前こそ、その落ち着き払ってるような演技をやめろ」

 

光秀「これは心外。俺は常に冷静な男だぞ」

 

秀吉「話にならねえ……!」

 

秀吉さんが、握り込んだ拳を振り上げる。

 

(だめ……!)

 

とっさに飛び出しかけた時、それより早く、信長様が動いた。

 

信長「そこまでだ」

 

光秀・秀吉「……!」

 

振り上げられた秀吉さんの腕を片手で封じ、信長様が鋼のような低い声を響かせる。

 

信長「美香、光秀の話は事実か」

 

「そ、それは……っ」

 

否定して助けを乞えば、日々の監視はなくなり、光秀さんから解放される。

 

でも–––光秀さんの裏切りも明るみに出る。

 

(そうなれば、この人の命は……)

 

「っ……光秀さんの、言うとおりです」

 

秀吉「美香、お前、無理に言わされてるんじゃ……」

 

「ううん、そうじゃないよ」

 

(今この瞬間は、そうじゃない) 

 

「ただし、ひとつ誤解を解かせてください!」

 

信長「ほう? 言ってみろ」

 

「許嫁になる話をお受けしたわけじゃありません。まだ、その……検討段階です!」

 

信長・秀吉「…………」

 

光秀「これは驚きだな。共に信長様と秀吉にご挨拶へ参るからには、承諾してくれたものと思っていたぞ」

 

「光秀さんが無理やり引っ張ってきたんでしょう……!」

 

秀吉「美香、お前……本当にこいつが好きなのか!? 正気か!? 今からでも遅くない、考え直せ! な?」

 

「うん、よく考えてみる」

 

光秀「前向きに頼むぞ、美香」

 

いつもの笑みを崩さない光秀さんをにらみながら、ため息が漏れた。

 

(ごめんなさい、秀吉さん、信長様。でも私は……この人を、失いたくない)

 

裏切りが明るみに出れば、待つのは死だろう。

 

(脅されてひどいことをされたのを許したわけじゃない。でも、だからって死んでほしいなんて思わない。むしろ、私は……)

 

信長「……はっ、面白い」

 

信長様が堪えきれないといった様子で笑いはじめ、ハッと我に返った。

 

信長「光秀、美香。悪くない余興だった」

 

光秀「恐れ入ります」

 

(な、何がそんなにおかしかったんだろう……)

 

秀吉「美香、考え直したらすぐ俺に言えよ。こいつがつきまとうようなら、俺が退治してやるからな」

 

「ありがとう、秀吉さん」

 

光秀「少しは俺に気を遣え、美香。まあ我々のことはさておき。もうひとつご用件があるのでは?」

 

(……! そういえば、九兵衛さんがそんなことを言ってたっけ)

 

全員がその場に座り直すと、信長様は脇息にもたれて口を開いた。

 

信長「光秀。貴様に急ぎ調べてほしい件がある」

 

光秀「何なりと、我が主」

 

秀吉「西方の小国で、謀反の兆しがあるとの報が入った。和睦を結んだばかりの毛利の領土と、ほど近い場所だ」

 

(『毛利』っていうと……もう亡くなった『毛利元就』って名前の猛将がいたことで有名な、名家だっけ)

 

光秀さんに教わったことが、自然と頭に浮かんでくる。

 

光秀「詳しく聞こうか」

 

問題が起きているのは織田軍直下の領土の端、中国地方に隣接する小さな国らしい。

よそとの往来が少ないのどかな土地だったはずが、急に人の出入りが激しくなったのだという。

 

信長「大名は知能も財力も兵力もない小物。だが……」

 

光秀「そこそこ高貴な血筋を引いている人間、ですか」

 

秀吉「そういうことだ」

 

(実力のある何者かが、身分の高い大名を祭り上げて利用しようとしてるってことか……。毛利氏の領土に近いってことは、現代で考えると兵庫県岡山県の境目かな)

 

光秀さんの戦国講義が思わぬ形で役に立ち、みんなの話がするっと頭に入ってくる。

 

信長「この件、妙にきな臭い。光秀、貴様自身の目であらためて、俺に報告しろ」

 

光秀「承知いたしました。内情を探って参りましょう。越後との戦も膠着状態ですし、たまには遠出も悪くない。美香、長旅になるぞ。支度をしっかりしないとな」

 

「え、私も……!?」

 

光秀「当然だろう。俺は片時もお前を離したくはないんだ」

 

(遠出の間も監視を続行するってことか……。私に、断る選択肢はないんだろうな。光秀さんと、ふたり旅……)

 

想像しただけで、妙に胸が騒いで落ち着かない。

 

秀吉「公私混同にもほどがあるぞ! 美香を巻き込むなと言ったのを忘れたのか!?」

 

光秀「ああ、忘れたな」

 

秀吉「お前は……っ、ポンポンポンポン嘘をつきやがって……!」

 

信長「構わん、秀吉。光秀の好きにさせろ」

 

秀吉「ですが!」

 

信長「構わん、と言っている」

 

秀吉「……っ、失礼いたしました」

 

信長「光秀、秀吉、貴様らは下がれ。美香に話がある」

 

(私に話……?)

 

光秀「信長様、美香の伴侶として、私も同席をお許し頂けませんか?」

 

信長「余興は終わりだ、光秀。……下がれ」

 

光秀「……御意のままに」

 

(あの光秀さんが、ひと言で引き下がるなんて……)

 

こうと決めた信長様には、光秀さんも秀吉さんも抗えないのだと一瞬で悟った。

パタン、と襖が閉まると、天主には静寂が満ちた。

 

(信長様と一対一なんて緊張する……。一体何の用だろう)

 

信長「美香」

 

「は、はい!」

 

信長「貴様の目に、光秀はどういう男に映っている?」

 

「光秀さん、ですか……?」

 

ひたと見据えられ直感した。

この方に、嘘や誤魔化しは一切通じない。

 

「……よく、わからない人だな、と。嘘つきで意地悪で、私は毎日からかわれていて……腹が立ったり、悲しかったりすることばかりです。でも……」

 

信長「でも、何だ」

 

「……なぜだか不思議と、嫌いには、なれないんです」

 

信長「–––そうか」

 

言い終えて、カッと頬が熱くなった。

 

(まるで、告白でもしたみたいだ。全然、そんなんじゃないのに)

 

惚れれば地獄、その言葉の意味が今は嫌というほどよくわかる。

それでなくても私は、いずれ現代に帰る。光秀さんもそのことを知っている。

 

恋にはならない。なりえない。

 

信長「–––顔を上げろ」

 

(あ……っ)

 

鉄扇で顎を持ち上げられ、信長様と真っ向から目が合った。

力のある眼差しに射抜かれ、背筋が伸びる。

 

「美香、光秀を頼むぞ」

 

「え……?」

 

信長「話は以上だ。下がれ」

 

「は、はい」

 

(どういう意味だったんだろう、今の……。何の力もないちっぽけな私に、『光秀さんを頼む』だなんて)

 

答えを見つけられないまま、廊下へ出ると……

 

光秀・秀吉「…………」

 

(う……っ)

 

光秀さんと秀吉さんが、無言で私を待ち受けていた。

ふたりは不自然なほどに距離を置き、険しい顔で突っ立っている。

 

(私が信長様と話してる間、ずっとこの状態だったのかな……)

 

光秀「おいで、美香。すぐに旅支度を始めよう」

 

秀吉「待て、光秀」

 

光秀「話の長い男は嫌われるぞ、秀吉」

 

秀吉「いいから言わせろ。百歩譲って、お前が何を企んでいようが俺を騙していようが、もうどうでもいい」

 

光秀「…………」

 

秀吉「一億歩譲って、信長様を裏切っていても構わない。俺がお前を叩き斬れば済む話だ。だけどな、美香だけは裏切るな。何があろうと、絶対にだ」

 

(秀吉さん……)

 

光秀「…………」

 

ふ、とかすかに微笑んだだけで、光秀さんは何も言わなかった。

私の肩を抱き寄せて歩き出しながら、腕組みして見送る秀吉さんにただ、ひらりと手を振ってみせた。

…………


「えっ、これを着ていくんですか?」

 

光秀「ああ、そうだ」

 

光秀さんが用意した旅の服装は、普段着ではなく、カラフルで華美なデザインの着物だった。

 

「素性を隠して潜入するんですよね? これじゃ目立ちすぎてしまいます。私はともかく光秀さんは有名な武将だから、もっと地味な着物の方がいいんじゃ……」

 

光秀「素性を隠すために着飾るんだ」

 

(どういうこと……?)

 

光秀「旅芸人に扮して、例の国へ潜り込む。身なりが『らしい』ほど、身分の高い人種は俺たちを『旅芸人』というくくりでしか見なくなる」

 

「さすが、ずる賢い……」

 

光秀「こら、『ずる』じゃなく策略だ。美香、未来の夫に、もう少し優しくしてくれないか?」

 

「へ、変なこと言わないでください! さっきは話を合わせただけですから」

 

(この人はもう……! 隙あらば意地悪を会話に挟んでくるんだから)

 

光秀「お前には踊り子の衣装を用意した。着てみろ、美香」

 

「わかりました……。着替えるので、外で待っていてください」

 

光秀「おや、俺は気にしないぞ」

 

「私が気にするんです!」

 

くすくす笑う光秀さんの背中に両手をついて、廊下へと押し出した。

 

(ええっと……この紐、どうなってるの? この髪飾りはどう使えば……)

 

光秀「何をもたもたしている?」

 

「きゃっ!? 入るなら入ると声をかけてください……!」

 

光秀「入るぞ」

 

「もう遅いです……!」

 

光秀「貸してみろ」

 

(あ……)

 

絡まった紐をするすると解き、光秀さんは着方を解説しながら着付けを始める。

時折じかに触れる指に、肌がぞくっとざわめく。

 

(……っ、意識することじゃない。これも指南の一環だ)

 

そう言い聞かせ、次は自分で着られるように手順を頭に叩き込む。

 

光秀「次は髪だな。座れ、美香」

 

用意した鏡の前に座ると、櫛が髪に入った。

 

(……んっ)

 

櫛の歯が地肌をそろりと滑る感覚に、変な声が出そうになる。

 

(っ、美容院でシャンプーされる時の感覚と同じだよね……。我慢、我慢……!)

 

光秀「気持ちいいな

「え……っ?」

 

光秀「お前の髪に触れるのは、なかなかに楽しい」

 

(よ、よかった、私の気持ちを見抜かれたわけじゃないみたい……。にしても『楽しい』って……。人の気も知らないで)

 

鏡に映る光秀さんはご機嫌で、器用に私の髪を結い上げていく。

 

(……この人の指に弱いな、私。意地悪なのに、心地よくて)

 

きっと、人のどこをどうすればどう感じるか、指先で熟知しているんだろう。

 

(何を考えてるんだろう……。光秀さんはただ、髪を結ってるだけなのに)

 

俯きそうになる私の顎をそっと持ち上げると、光秀さんは仕上げに朱色の紅を目元と唇に乗せた。

 

光秀「上出来だ。思った通り、よく似合う」

 

「そう、でしょうか……」

 

光秀「ああ、想像以上だ」

 

鏡の中で、微笑む彼と目が合った。

笑みを浮かべる唇が不意に、あらわになった私の首筋に押し付けられる。

 

「ひゃ!? ちょ、え……!?」

 

光秀「俺にあれこれされるお前があまりに心地よさそうだったので、ささやかながら、おまけだ」

 

(っ……気づかれてた……!)

 

「気持ちよくなんか、ないです……!

 

光秀「嘘はよくない」

 

(あ……っ)

 

背中から抱きしめられ、心臓が潰れるほどに高鳴った。

吐息が、おくれ毛をくすぐるのを感じる。

顔が熱くて振り向くことも出来ない。

 

光秀「美香……」

 

「ぁ……っ」

 

今度は、結い上げられた髪の生え際にキスが落ちてくる。

触れている箇所が、火傷したみたいに熱い。

 

「嫌、です……。ほんとに、嫌……」

 

光秀「嫌? 嘘をつけ。意地悪されるの、好きだろう?」

 

ぞく、と、身体の芯が疼いた。

 

(っ……、こんなの……無理……)

 

光秀さんは、監視するために私をそばに置いている。

意地悪をしてからかうのは楽しいから、ただそれだけ。

なのに。

 

(なんで、私、こんなに……)

 

はしたない熱が溢れ出しそうになって、火照った身体を必死に引き剥がした。

 

光秀「おっと」

 

「意地悪は、もう終わりです!」

 

光秀「けちけちするな」

 

「駄目です! 今度やったら、教えられた護身術全部使って仕返ししますからね!」

 

光秀「やれるものならやってごらん」

 

(馬鹿にして……っ)

 

半分本気で、ぽかりと厚い胸を叩く。

間髪入れずに、握った拳を手のひらで包み込まれた。

 

光秀「……悪かった」

 

(……っ、なんでこのタイミングで、そんな顔で、謝るの)

 

口元に運ばれた拳にまた、キスが落ちる。

 

「……っ、あなたって人は、本当に……」

 

光秀「どうだ? 少しは許嫁になった実感が湧いてきたか?」

 

「湧くわけ、ないでしょう……! あくまでニセモノなんですから。ふざけてないで、自分も着替えてください!」

 

光秀「わかったわかった」

 

廊下へ逃げ出して、その場にへたりこむ。

自分の呼吸が少し荒いことが、耐え難いくらい恥ずかしい。

 

(あんな人、好きになんか、なるわけない。絶対ぜったい、なるわけない)

 

光秀さんが着付けてくれた着物の襟を、これ以上ないくらい、きつく掴む。

鼓動があまりにうるさくて、耳をふさいでしまいたかった。

 

…………


美香と光秀が安土を発ったのと同じ頃–––

 

謙信「謀反の兆しだと……?」

 

謙信の家臣「はっ。東方や北方で、小国の大名が妙な動きをしているとの報が……。それもひとつではございません」

 

信玄「信長との戦がこれからって時に。奴は、味方が一丸となってかからない限り勝てる相手じゃない」

 

謙信「待ちわびた大戦に水をさす者は、何人たりとも許しはせん」

 

信玄「どうする。幸と佐助を–––越後に、呼び戻すか?」

 

謙信「それには及ばん。ふたりに『“奴”の捜索を最優先で急げ』と命じて西方へ遣わしたのは、お前だろう、信玄」

 

信玄「……そうだな。一体どこに消えちまったんだろうな、あのボンボン息子は」

 

謙信「…………」

………

 

いく日も旅をして、私たちは問題の小国へとたどり着いた。

 

(やっと到着だ……! のどかで平和そうなところだな)

 

光秀「ここまでよく頑張ったな、美香。偉いぞ」

 

「そうですね。我ながらなかなかの忍耐力だと思います……」

 

光秀さんとのふたり旅……道中の数々の意地悪や悪戯は、できるだけ思い出したくない。

 

(にしても、光秀さんの格好、まだ慣れないな……)

 

旅芸人に扮する光秀さんは、妙にしっくりきていて、どこへ行っても女性の注目を浴びた。

 

光秀「そんなに見つめてどうかしたか?」

 

「どうもしません……っ。それより、これからどうするんですか?」

 

光秀「前もって九兵衛に手配を頼んである。そろそろ迎えが来る頃合いだ」

 

(迎え……?)

 

???「おーい、あんたら、光(みつ)さんと美香さんだろう! 待っとったぞー!」

 

派手な衣装に身を包む、人の良さそうな四十代くらいの男性が、こちらへと駆けてくる。

 

「あの人は……?」

 

光秀「俺たちが世話になる、旅芸人一座の座長だ」

 

(なるほど、事前に手配したって、そういうことか)

 

「たしかに大勢の中に紛れたら、ますます目立ちにくくなりますね」

 

光秀「正解、よくできたな。彼をはじめ一座の面々は俺たちの素性を知らない。あくまで、流しの芸人として振る舞うぞ」

 

「わかりました」

 

(監視のために連れてこられたけど、役に立てることがあるかもしれない)

 

光秀さんは裏切り者かもしれないけれど、少なくともこの任務をしっかり果たそうとしている。

それに、私にとって織田軍みんなは、今では家族に近い存在だ。

 

(ここまで来たからには、やれることをやってみよう。安土のみんなのために)

 

座長「ようこそおいでなさった! ちょうど人手が足りんで困っとったんだ」

 

「お世話になります、座長さん」

 

座長「こちらこそ! 光さん、あんたのお嫁さん、べっぴんだねえ」

 

光秀「はい、俺もそう思います」

 

(……『お嫁さん』!?)

 

座長「素敵な夫婦が一座に加わって心強いよ。今度の祭りの出し物は、なにせ特別だからなあ」

 

光秀「精いっぱい頑張ります」

 

(『夫婦』!?)

 

座長「長旅でくたびれたろう。さっそく、わしらのねぐらに案内しよう」

 

和やかな笑顔を浮かべる座長さんが先に歩き出すのを待ち、私は光秀さんの耳を引っ張った。

 

光秀「おっとっと。どうした?」

 

「どうしたもこうしたもありません……!」

 

私の方へ身体を傾ける光秀さんに、声を殺しながらも、最大限の抗議の意志を込めて耳打ちする。

 

「夫婦って言いましたよね、座長さん……! 事前になんて説明してあるんですかっ?」

 

光秀「おや、言ってなかったか? 俺とお前はこれから、旅芸人の夫婦になる。それが一番自然だからな」

 

(そ、そんな……!)

 

指南役とその弟子から、噂を利用し仮初めの恋人へ。許嫁のフリを経て、ついには偽装夫婦に–––

 

(光秀さんの策略で、底なし沼にずぶずぶ引っ張り込まれてる気がする……!)

 

気が気じゃない私に光秀さんが向けたのは、この上なく楽しげな笑みだった。

 

光秀「あらためてよろしく頼むぞ、美香。お前の夫としてな」