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イケメンシリーズ ストーリーのネタバレです

王宮【アラン】secret endエピローグ前半

宣言式を終え、数日が経ったある日……。

次期国王候補になったものの、アランは普段と変わらない毎日を過ごしていた。

 

アラン「…………」

 

普段通りの訓練をしていると、ふと美香の姿を遠くに見つける。

 

不意に、ジルの言葉がよみがえってきた。

 

ジル「いいですか、婚約されたとはいえ、節度ある距離を保って下さい」

 

ジル「国王からの戴冠式が行われるまで、あなたは、正式にはプリンセスの相手ではまだないのですから」

 

(……節度ある距離って、一体どれくらいのことだよ)

 

美香の姿が見えなくなると、アランは息をつく。

そうして、お互いの忙しい日々を思い出した。

 

(最近、あいつに触ってねえな……)

 

 

訓練の合間、アランはしのの執務室を訪れていた。

ドアを開けると、椅子に腰掛けたままレオが振り返る。

 

レオ「あれ?」

 

眼鏡をかけたまま、面白そうに首を傾げた。

 

レオ「アラン、忙しいんじゃなかったの?」

 

アラン「……何してたんだよ」

 

すると机に向かっていたしのが頭を上げて答える。

 

「アラン……今レオに、勉強を教えてもらってたの」

 

(またか……)

 

ちらりと視線を移すと、レオがふっと笑みを浮かべる。

 

(こいつの、こういう見透かしたような笑いが嫌なんだよな)

 

そうして立ち上がったレオが、面白そうに言った。

 

レオ「アランは美香ちゃんにくっつきすぎだよ 少し離れないと飽きられちゃうよ?」

 

レオの笑みに、アランが眉を寄せる。

 

アラン「…………」

 

(余計なお世話なんだよ)

 


レオ「じゃあね」

 

そうしてレオが部屋を出て行った後も、アランの眉はひそめられたままだった。

 

「あの……アラン。何か、用事だった?」

 

アラン「…………」

 

アランはレオの座っていた椅子に黙ったまま腰掛けると、美香の持っている本を、ひょいと持ち上げる。

アラン「こんなの勉強してどうすんだよ」

 

「ちょっと、アラン……返してよ」

 

しのが手を伸ばすと、アランがひょいひょいと取らせない。

 

「もー」

 

眉を寄せる美香の姿に、アランが少しだけ笑った。

 

(俺こいつの、こういう顔が好きなんだよな……)

 

「今度、サロンでお茶会が開かれるの」

 

「そこに出席して、プリンセスとして恥ずかしくないようにしなくちゃ」

 

アラン「ふーん」

 

本を返しながら、アランが思う。

 

(そういえば……)

 

(こいつ、俺と全く会えなくても、こたえねえのかな)

 

二人きりで会うのは久しぶりだというのに、美香は机を離れようとはしない。

 

アラン「…………」

 

その時、レオの言葉がよみがえってきた。

 

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レオ「アランは美香ちゃんにくっつきすぎだよ 少し離れないと、飽きられちゃうよ?」

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「……アラン?」

 

アラン「…………」

 

アランはなにかを考えるように、ただ黙ったままだった……。